Google Translate
フランスの写真家ブラッサイ(1899–1984)の作品集『未知のパリ、深夜のパリ ― 1930年代』。本書はみすず書房が1977年に刊行した日本独自編集の一冊で、移民としてパリに身を置いたブラッサイが、1930年代の夜を歩きながら捉えた都市のもう一つの素顔を辿る内容となっています。彼は文筆家や画家との交流を通じて独自の視点を育み、暗闇に沈む街角や酒場、労働者、娼婦、酔客といった多様な人々の姿に、人間の営みが放つ微かな光を見出しました。本書に収められた写真は、都市の影に潜む孤独や躍動を断定せずに提示し、当時のパリが抱えていた社会の層の厚みを静かに伝えてくれます。夜霧に濡れた石畳や灯りの滲む路地が、観察者としてのブラッサイのまなざしと重なり、時間を超えて読む者を街の奥へと誘う一冊となっています。