夏小説 / Summer : Retrographs

荒木　経惟 / Nobuyoshi Araki

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アラーキーの愛称で知られる、日本を代表する写真家・荒木経惟の写真集『夏小説』。本書が刊行された90年代末に、平凡社からの20冊に及ぶ全集が出揃い、その後に新たに「荒木経惟文学全集」も創刊されています。そうした経緯の中で、本書も文学的なアプローチから“小説”というタイトルになったようですが、「写真だけで小説を書こう」（あとがきより）という目論見が背景にあります。本書は、1997年の夏の出来事をまとめた1冊で、同時期に東京・原美術館で「アラーキー　レトログラフス」展も開催されており、巻末には展示の様子の記録や学芸員・内田洋子による作品解説も付属。モノクロのタテ位置で写し出された写真は、おなじみのベランダや愛猫チロ、そして街の風景、ヌード、酒宴といった身辺雑記的な内容ですが、内田の言葉を借りれば「荒木は写真術で勝負する写真家ではない。一瞬を切り取る構図、フレーミングの技は天才的であるし、とにかく写真がうまい。しかし、彼の興味はあくまでも瞬間のコトを生け捕りにする行為にある」という荒木の写真の妙味がつまっています。

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＜Condition＞ ジャケット：帯折れ跡、本体：経年並み　　　
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