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デンマークを代表するアーティストであるヴィルヘルム・ハンマースホイ(1864-1916)の作品集『Hammershøi and Europe』。17世紀オランダ絵画の強い影響を受けたというハンマースホイは、モノトーンを基調とした静謐な室内表現が特徴的です。描かれた室内は自宅であり、絵の中にしばしば登場する妻イーダの後ろ姿はとても印象的で、ハンマースホイの作品の大きな要素となっています。本書は、2012年に刊行された作品集で、ハンマーホイの孤独な私生活や旅(とりわけロンドン)に焦点を当てており、その豊富な図版はテーマ別に分けられ、ゴーギャンやスーラ、ホイッスラーといった同時代の画家との比較もなされています。「当時流行してきた絵画的な伝統とは対照的に、ハンマーホイの絵は物語や細部を取り除かれ、限定された色、乾いた筆使いで、彼は不思議な室内空間を作り出しました」(カバーより) 。彩度の低いトーンで描かれ、一見重々しい印象もありますが、その透徹した世界観に滋味深さも感じられます。