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デンマークの写真家クラス・クレメント(1946-)の作品集『Drum』を収録した、Errata Editions「Books on Books」シリーズ第16巻。クレメントは北欧写真を代表する作家のひとりとして知られ、旅や移動、孤独、夜の都市や酒場に漂う空気を、粒子感のあるモノクロームで静かに掬い上げてきました。ヴェンダース映画を思わせるロードムービー的感覚や、文学的な余白を持つシークエンスによって、写真集という形式そのものを重視してきた作家でもあります。本書の核となる『Drum』は、1996年に刊行されたクレメントの代表作であり、アイルランドの小さな町ドラムのパブを、一晩と数本のフィルムだけで撮影した伝説的作品集です。霧が降りる夕暮れの町から始まり、仕事帰りの男たちが酒場へ集まり、やがて一人の老いた男の姿へと視線が収束していく構成は、まるで一本の映画のような濃密な時間感覚を生み出しています。共同体の温度と同時に、そこから零れ落ちる孤独や疎外感までも映し出した『Drum』は、現代写真集史における重要作として高く評価されており、本書ではその希少作を全ページ収録しながら、写真集というメディア自体の魅力を再考する内容となっています。