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アメリカを代表する写真家であるデイヴィッド・アームストロングの作品集『The Sliver Cord』。アパートメントでの暮らしもシェアした盟友であり、パートナーでもあったのがナン・ゴールディン。互いに「親密性」の高いポートレートに定評のある写真家ですが、そのスタイルは異なります。ゴールディンは女性でありながらも、特にこの時代の作品は、全体的に「ハード」で「ドラマティック」、そして強い「愛」を感じさせるものでした。一方アームストロングは「ソフト」で大人なしく、「品格のある」作風が特徴的でした。ベースとした信念や内面に宿る感性は共通でありながらも、表層的に個性の異なる二人であったからこそ、長らくパートナーでいられたのかもしれません。本書は、今はなきスイスの出版社Scaloより刊行された作品集で、ゴールディンが編集とあとがきを担った一冊。ぼやけた風景とポートレートを混在させ、様々な想像を掻き立てつつ、ポートレートのクリアな美しさをより強調させる編集が惹きつけます。70年代の若かりしゴールディンと、90年代の成熟したゴールディンが登場します。