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日本の女性写真家・吉田睦子の作品集『TV Junkie'83 / Memorial 031』。本書は、タイトルの通り「テレビの映像」をモチーフにした作品集で、朝の6時から深夜の3時半まで、ブラウン管に流される画像にひたすらにシャッターを切り、その写真を時系列にレイアウトすることで、その当時の「日本の現在」を浮き彫りにした一冊。それは、バブル到来を予感させるようなある種の「豊かさ」であり、その一方に潜む心の「貧しさ」もであったり、テレビ中毒になることに対する問題も感じさせます。深夜3時半を過ぎると、テレビの放送は終わり、チャンネルを回しても映像が映らない画面模様が、「テレビ」というものに対する様々な問題を投げかけているかのようです。このような一種のファウンド・フォトは、宮崎皓一による『Scissorings』(1968)や望月正夫による『Television 1975-1976』(2001)などが有名ですが、本書はデザイン・レイアウトも洒落ていながらも、硬すぎずにユーモアに溢れた興味深い一冊です。