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日本の写真家、松元省平の写真集『人間の村』。1948年生まれ、1975年に佐賀大学理工学部数学科を卒業し、「モダン・フォート・セミナー」の主幹をしていた松元。現在は鹿児島に居を移し、天体写真に注力しているようです。本書は、70年代後半に長崎県中部の崎戸島にある廃坑を写した写真集です。この島にあった崎戸炭砿は1968年に閉山していますが、本書に寄稿している小説家・井上光晴が10代の頃に炭鉱員として働いていた場所でもあります。閉山後の崎戸を3年に渡り取り続けた松元は、「わたしの視界を覆う、巨大な墓石のような無人アパートの黒い影。くり返しくり返し、まるで何かにとりつかれたように吹く生暖かい風。それらすべてが私を震わせる」とその第一印象をあとがきで述べていますが、この産業亡き後の朽ち果てた建物、寂れていく街をモノクロで淡々と写し出しています。同じ長崎で言えば、奈良原一高が撮った軍艦島にも似た雰囲気を感じさせます。