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日本の写真家・那須悠介の写真集『すべての猫が灰色にみえるとき』。新宿の蒼穹舎やサードディストリクトギャラリーで精力的な展示を行っている那須悠介。近年は植物のある風景(といっても遠景ではなく近景)を独自の視点で切り取っています。本書は、2003年に発行された写真集で、プラハ、ベルリン、アムステルダムなどで撮られた1部と、愛知で撮られた2部で構成されています。海外といっても観光写真的な記名性のある写真ではなく、道端ばかりを写し出しているような、退廃的な光景が続きます。2部は車内から撮影された写真が多く、こちらもとらえどころのない寂寞とした風景が連なります。人気がなく(猫が一匹横たわっているだけ)、どこか心象風景のような世界観は、那須の内面を覗き込むような気分にさせます。パーソナルな表現でありながら、見方によっては郷愁を誘い(誰もが感じたこと、目にしたことのあるような風景)、モノクロの陰影に情感が漂います。巻末に小さなプリントが付属しています。