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日本を代表する女性写真家のひとりである大石芳野の写真集『少年パパニー』。「戦争・紛争の傷跡。そして、そこに生きる人々」と言えるようなテーマで世界を股にかけて活躍してきた大石芳野。本書は、1983年の刊行ながら、71年に「パパニー」と題された個展が、ニコンサロンで行われており、大石が写真家として世に問うたファースト作品でもあります。大使館勤務の父の都合で、幼少時に日本で暮らしていたガーナ人の少年パパニーと大石芳野の交友を綴った作品集。心淋しくどこかに翳りのある少年が、大石を大好きになり、その瞳の奥の輝きに大石自身も恋人のように可愛がります。本書では、パパニー6歳の信州、10歳の時のガーナ、そして13歳のロンドンと、父の転勤で異国に移住していったパパニーを、大石は追いかけて撮影を重ねており、フォトポエジー風に描写されたイメージは、少年を見つめる視点と共に、女性として男性を見つめる心情さえ感じさせる、異色の一冊です。