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日本の写真家、南良和(1935-)の写真集『ある山村・農民』。幼い頃から喘息を患い、部屋に籠もりがちだったという南は、父親から渡されたカメラで撮影を始めました。1950年代から故郷・秩父の子供や若者、山村風景などをテーマに撮影を続け、山村の諸問題をジャーナリストとして切り取っていきました。1967年に第4回太陽賞を受賞しています(第1回は荒木経惟)。本書は、南の1st写真集であり、巻末で本書に寄せて、「16年間撮り続けてきた農村のよそゆきではない人間を集大成しました」と記しています。戦後に急速に発展していく都市とは対照的に、ここに写し出されたのは、それまでと変わらないであろう農村の日常。テキストを寄せている詩人・渋谷定輔も目を奪われた「21歳の嫁の手」は、その過酷な労働を象徴しています。農家の封建的な慣習や冠婚葬祭から野良仕事、新しい価値観が育まれていく若者たち。前近代的なままの農村、農家のあり様とそれが徐々に変化をしていく兆しがドキュメントされています。