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ブラジルの写真家マリオ・クラヴォ・ネト(1947-2009)による写真集『Bahia』。彫刻家を志していましたが1975年の自動車事故により1年間の寝たきり生活を余儀なくされ、その後、写真の道へと進んだネト。そのキャリアを通じて足を向けたのはブラジル北東の州・バーイア。16世紀から19世紀にかけてアフリカからやってくる奴隷たちが上陸した土地であり、複雑な背景をもつ街とその文化遺産を撮り続けてきました。特に西アフリカの土着宗教がブラジルで発展した民間信仰「カンドンブレ」に強く影響を受けていたようです。本書は1980年に発行されたもので、タイトルにあるようにバーイアで撮られた写真集です。すべてカラーで収められ、ラテンアメリカならではの豊かな色彩に覆われた街の日常とともに、散りばめられた宗教的・儀式的なモチーフ。バーイアという土地の特殊性を示しながら、冒頭と巻末の水平に海を眺めるカットには、アフリカを臨むようなノスタルジーが入り混じります。