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日本の写真家・新井卓(1978-)の作品集『Monuments』。新井卓は、戦前の大型カメラを用いたダゲレオタイプ(銀板写真)によって、歴史の痕跡と現在の光を重ね合わせる独自の実践を続けてきた写真家です。銀板に刻まれる像は、いま目の前にある風景でありながら、微かな反射や揺らぎをともなって過去の残響を呼び起こし、記憶と時間の層が静かに交差する瞬間を可視化します。本書は、広島・長崎・福島など“記憶の場”を丁寧に撮影したシリーズで、2015年に刊行され、第41回木村伊兵衛写真賞の受賞対象となった重要な一冊です。そこに写るのは記録的な風景ではなく、光を受けて浮かび上がる銀の面そのものが持つ物質性で、風景が沈黙の証言者として立ち上がるように見えます。草木の揺れや建造物の輪郭、あるいは空のわずかな濁りまでが、土地に刻まれた時間とともに像の表面に焼き付き、観る者に記憶の在り方を問いかけます。過去を直接語らず、現在の光で歴史と向き合う新井の姿勢が強く反映された、彼の活動の核となる作品集です。