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日本の写真家・志賀理江子(1980-)の作品集『Blind Date』。写真を通して自己と社会が交差する接点に立ち現れる「イメージ」を探求してきた志賀は、ロンドンでの学びを経て活動を本格化させ、2008年以降は宮城県を拠点に制作を続けてきました。出来事の内部へ身を置き、他者や共同体、身体感覚の揺らぎに自ら関与しながら像を結ぶ姿勢は一貫しています。本作は『螺旋海岸 album』以降に編まれた作品集で、2009年のタイ・バンコクにおいて、バイクの後部座席から街を走り抜けながら、見知らぬ他者と交わした無数の視線が核となっています。触れることはできないまま確かに接近してしまうその感覚に、志賀はカメラという媒介を見出し、「見る/見られる」関係が孕む欲望や不安、身体の奥に潜む生物的な勘を呼び覚ましていきます。全ページ袋とじの構えは、見ることの快楽と暴力性を同時に抱え込み、「目」はどこまで私たちを規定し、支配しているのかという問いを、静かに、しかし鋭く突きつけます。