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日本の写真家・久保田博二の作品集『アメリカの肖像 / A Portrait of America』。1939年東京・神田に生まれた久保田は、早稲田大学在学中に来日したマグナムの写真家たちと出会い、1960年代初頭に渡米して写真の道を歩み始めました。シカゴで写真を撮りながら腕を磨き、1965年にマグナム・フォトに参加、後にフルメンバーとして国際的なフィールドで活動を続けてきた稀有な存在です。1968年の米大統領選挙、沖縄・ベトナム・アジア各地の取材を経て、1988〜92年にかけてアメリカを撮影した本書は、単なる風景や象徴的な出来事ではなく、一人ひとりの肖像を通じて社会と歴史を見据える姿勢を示しています。久保田の眼差しは、報道的な直接性と距離感のバランスを保ちながら、肌理の細かい人間像として現れ、階層や人種、職業といった差異を越えて、アメリカ社会の複雑な層を浮かび上がらせます。1992年刊行の本書は、肖像が社会とどう関わり得るのか、そして写真が記憶と歴史の捕捉として何を可能にするのかを、静かに問いかける力を持っています。