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日本の写真家・淵上裕太(1987-)の作品集『路上』。淵上はスタジオ勤務を経て独立後、2016年頃から東京・上野の街を中心に「路上」シリーズを開始し、行き交う人々に声をかけて撮影するストレートなポートレートで注目を集めてきました。見知らぬ人にまっすぐに声をかけ、その場で立ってもらうというシンプルな手法から生まれる写真は、被写体の存在感をむき出しのままに映し出します。筋肉の張りや服装、視線や表情といった些細な要素にまで作家の眼差しが注がれ、そこには都市の日常に埋もれがちな人間の強さや儚さが刻まれています。本書は2017年に私家版として刊行された初の作品集であり、以後続く『路上2』や連続展覧会へと広がっていくシリーズの出発点となりました。街角での偶然の出会いが生み出す一瞬の凝縮を、丹念にポートレートとして結晶させた本作は、写真という行為の原点に立ち返らせるような力を持った一冊です。