Paintings, Etc.

William Klein

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本書は、写真家ウィリアム・クラインが、写真家として名を成す以前に手がけていた絵画作品を中心に編まれた、異色かつ貴重な作品集。1940年代後半から1950年代初頭にかけての抽象的なペインティングやドローイング、さらには建築スケッチや壁画のための試作図案などが収録されており、若き日のクラインが模索していた芸術的言語の萌芽を見ることができます。これらの作品は長らく公開されることなく、クラインが写真家として世界的に知られるようになった後も、あまり知られていませんでした。しかし本書により、彼の視覚的感性がどのように育まれ、やがて写真、映画、デザインといったジャンルに拡張されていったかが明らかになります。大胆な色彩、荒々しい線、スピード感ある構成は、のちのスナップ写真や映像作品にも通じる表現の源流といえます。全体として、クラインの多面的な表現者としての出発点を記録する一冊であり、写真ファンだけでなく、戦後アートに興味をもつ読者にとっても読み応えのある内容となっています。

＜Related Artists＞ William Klein、Daido Moriyama
＜Condition＞ 本体：ページ縁少イタミ