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日本の写真家・中山陽(あきら)の写真集『筑豊残像「女坑夫は今」』。1927年福岡県生まれで、戦後地元の医大を卒業して、1954年に田川で開業。ほぼ同時期に写真制作・創作活動も始めたという中山陽。それ以来20年近くもの間「断層」のテーマのもとに撮りためた作品のモチーフは「筑豊」。言わずとしれた日本最大の炭鉱の街であり、巨匠土門拳がその経済成長の裏にある過酷な生活の実情を写し出した『筑豊のこどもたち』(1960)が生まれた地でもあります。中山は、田川の児童相談所の嘱託医の時代に、同所を訪れ子どもたちと接し、そして写真を撮る土門拳の姿を間近で見ていたそうです。地元で生きる人間の使命を果たすかのごとく、50年代〜70年代の筑豊炭田の栄枯盛衰の一連をカメラに収めてきた中山陽。70年代に閉山となって以降、忘れられつつあった当時の過酷の歴史を次世代に残すべく、中山は当地の残像を収めつつ、当時現場で働いていた女坑夫たちを丹念に取材し、その過酷さに耐えた「女性の強さ」と、決して忘れてはならない確固たる事実を本書に収めました。