Google Translate
日本の写真家・荒木経惟の写真集『冬へ(With OBI)』。本書は、1989年に東京の街をタテ位置で収めた写真で構成されています。「愛妻・ヨーコ夫人に迫る死の影を見つめながら撮り重ねたすべての生あるもの滅びゆくものへのオマージュ」と帯にも記されていますが、1989年の夏に子宮肉腫と診断され入院、1990年の1月に亡くなる陽子。また、この時期は都庁をはじめ街には次々とビルが建設されており、下町育ちの荒木が知る東京の風景が失われていきます。妻の死、街の死を重ねたようなセンチメンタルな写真集です。以下、巻末の伊藤俊治のテキストより「荒木経惟はこれまでずっと大きく変容する東京という都市の深層の感情や無意識を写しだしてきた。彼の写真は一見何げない東京の風景をとりおさえた写真でありながら、そこには荒木という個と東京という都市との間の様々な関係や、荒木という一人の人間の身体や精神をつくっている基盤のようなものが浮かびあがっている。彼の経験とか感情とかが東京と蜜のようにからまりあって、東京の変容そのものとシンクロしているのである」。帯付。