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アサヒカメラと並ぶ、カメラ雑誌の二大巨塔の一つである『日本カメラ』の1973年12月号で、戦後の日本を代表する写真家である緑川洋一「モンマルトル界隈」やヌード写真の第一人者・中村立行の「Nude」などがメインで収録されていますが、見逃してはならないのが杉野安による「インプレッシブ」が収録されているところです。杉野安と言えば、関西写真界の巨匠で森山大道も師事した岩宮武二に写真を教わり、岩宮が指導した光芸クラブに属しながら、1970年に私家版で写真集『心触風景』を刊行しています。一時期体調を崩したことや、自身が営む企業の経営に専念するために写真から離れていましたが、90年代に復活して、岩宮にオマージュを捧げた写真集『佐渡』も発表しています。活動期間が短く、刊行した作品集もわずか2冊ということもあり、作品に触れる機会が極めて少ない写真家ですが、本書にはおそらく海外で撮影したと思われる心象写真が5図版収録されています。その他の写真家の作品もなかなか読み応えのある号となっています。