Google Translate
日本を代表する写真家・荒木経惟(1940-)の写真集『食事 / The Banquet』。下駄職人でアマチュア・カメラマンであった父の影響で写真を始め、千葉大学工学部写真印刷工学科を卒業後、電通に就職。仕事の傍ら、1971年に私家版『センチメンタルな旅』を発表し、写真家としての道を切り出し、現在までに500冊もの写真集を刊行し、国内外で大規模な個展を成功させています。本書は、タイトルの通り、荒木が摂った食事の写真です。作ったのは荒木の写真を語る上で不可欠な愛妻であり夭折した陽子。カラーで接写された食事は生々しくグロテスクでありながら、荒木らしいエロティックな印象を与え、また、記された食事の豊富なメニューを見ると、そこに陽子の愛が感じられます。「食事は死への情事だった」と綴られる後半部は、余命1ヶ月の手料理となり、一転してモノクロに。荒木と陽子という日本の写真史にも残る夫婦の関係が、食事からも垣間見ることができる1冊です。帯欠。Parr & Badger Vol.Ⅰ掲載。