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大正から昭和期の日本の写真界に新風を吹き込んだ福原信三と、その同人福原路草・大田黒元雄・掛札功によって立ち上げられた写真同人誌『寫眞藝術』の第2巻第10號。1883年生まれの福原信三は、学生時代より薬学を学びつつも「画家」になることに憧れていましたが、ヨーロッパ行脚中より本格的に写真を撮り始め、1910年代に帰国しますが、日本画・洋画をベースとした「ピクトリアリズム」や技巧主義的な写真志向から脱し、写真による新たな藝術表現を標榜して寫眞藝術社を立ち上げました。従来の「絵画的」なスタイルをベースとしながらも、従来にはなかったようなありきたりな自然や日常風景をモチーフとして、豊かな発想力や独特の構図を用いて、「光と影」という自然の産物を存分に活かしたそのスタイルは多くの支持を得ました。本誌でも、その主張が信三・路草・大田・掛札らによる図版によって見事に表現されており、100年近くも前に偉大なる先人たちによって築かれた日本写真の礎がここに詰まっています。(The Japanese Photobook 1912–1990 収録)