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日本を代表する写真家・川田喜久治の写真集『ルードヴィヒⅡ世の城 / Cosmos of the Dream King』。東松照明、奈良原一高、細江英公、佐藤明、丹野章といった戦後を代表する日本の写真家たちが一堂に会した「VIVO」のメンバーであり、刊行してきた写真集は少ないものの、日本写真史における金字塔として評される『地図』などで知られる川田喜久治。本書は、日本でもよく知られるドイツの古城・ノイシュバンシュタインなどルードヴィヒⅡ世が作り上げた城やその世界観を川田の視点で切り取った作品集。川田の2作目の写真集『聖なる世界』でも、「狂気の王」として取り上げられていますが、「わが城は、われとともに生き、われとともに死す」という言葉を残しているように、自身の城に並々ならぬ想いを込めたルードヴィヒⅡ世。その解説は巻末で澁澤龍彦が詳述していますが、川田はシャンデリアや壁画、そしてバロック調の装飾が施された城の細部や空間を丹念に写し出しています。狂気と背中合わせの美のあり様が、ロマンティシズムをくすぐる1冊です。