羽おと

高橋　洋雄 / Namio Takahashi

Google Translate
日本の写真家・高橋洋雄の作品集『羽おと』。1943年秋田県生まれ、1966年日本大学芸術学部を卒業後、同年北海道放送映画社で勤務を始めたという高橋洋雄。2000年代初頭には、かつては石炭など北海道で栄えた産業が、今や衰退してしまい、それらの建物や施設が退廃してしまっている様子などを収めた、北海道の栄枯盛衰の歴史を綴った写真集『痕跡』を刊行しています。こちらは1970年に私家版で刊行された作品集で、近年再評価が進み、世界的にも高い注目を集める深瀬昌久の名作『鴉 / Ravens』と同じく、モチーフは「カラス」。自身の身近に羽を痛めた子ガラスが現れ、その子を見ているうちに愛着を持つようになり、カラスを追い求める高橋の旅は始まりました。俗にあるような「動物写真集」の類とは異なり、モノクロで、構図や背景の使い方が大変素晴らしく、叙情性に溢れた構成となっています。深瀬昌久のような「私写真」的な要素は薄いものの、レイアウトやトーンに強弱をきかせ、モノクロの味わいもいかされた美しい写真集です。

＜Related Artists＞ 深瀬　昌久 / Masahisa Fukase
＜Condition＞ 本体：カバー少ヤケ・少ヨゴレ、見返し少シール跡