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日本の写真家・川上清の写真集『にぎやかな独り言』。山内道雄や尾仲浩二、中藤毅彦らも通った東京写真専門学校(現東京ビジュアルアーツ)で教鞭を取っていた川上清。自費出版にて写真集の刊行も行っており、1974年には8年の歳月をかけた『白い風』を発表。田舎を舞台にしながらも、軽やかでモダンなスナップが特徴でした。本書は、2003年に発行されたもので、コンパクトデジタルカメラを用いた意欲作。東京を中心に2年間かけて撮影は行われ、約5000カットの中から選んだ写真で構成されています。タイトルが示唆するように、街で見かける平凡な風景なようでいて、どこかおかしな風景。写真家ならではの造形的な捉え方によって写し取られた光景の背後には、コンポラ的な視野があるとも思えます。写真を撮っても敢えてカメラのモニターでは確認せずに撮影を続けたそうで、そこに川上は自身のアナログな思考を感じたそうですが、撮り直しのきかない瞬間に向き合ったとも言える1冊です。