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日本の写真家・仲川達郎(1948-)の写真集『闇のエロス』。ファッション雑誌でモデル撮影などをしていたという仲川達郎が、ファッションという虚構に対して、現実へと目を向けてたどり着いたのが「のぞき」。本書は、公園や室内、トイレをのぞき見る、盗撮系の写真集です。赤外線写真を駆使した吉行耕平や篝一光といった写真家で知られる分野ですが、本書の性格はそうしたドキュメント性にとどまらず、男と女のいる場所として「もっと写真にドラマ性を織り込みたい」と巻末の映像評論家・長野隆との対談で語っています。カラーとモノクロで構成されていますが、「覗きのリアルさを自然に出すだけなら白黒の方が良いわけですが、僕は意識して、カラーの持つ日常の中の非日常を表現したかった」、「カラーの非日常性から浮かび上がる架空のドラマを見る側に想像してもらいたかった」と説明しています。のぞきという撮影行為を通じて男女の世界をドラマ化しようとした1冊です。