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日本の写真家・川村茂和による写真集『大阪』。1972年から1973年にかけて森山大道が私家版として発行していた『記録』の最終号(5号)に写真が掲載されているなど、森山と親交があった川村。本書は、1978年に私家版として発行された一冊で、大阪を舞台に、大阪城や食い倒れ人形、グリコのネオン、通天閣など大阪のランドマークなどを織り込みながら街中をスナップした写真で構成されています。巻末で森山が『途上にて』というテキストを寄せており、「4年余りに及ぶ彼の大阪もの狂いの次第を僕は眺めていた」と記しているので、撮影に4年という期間を有しまとめられたものだと思われます。森山にも似たダイナミックな構図が印象的で、ネオンや広告など街の装飾や人の顔をクローズアップして写し出します。野放図にも見えますが、その不敵さが魅力的に感じられます。「この、現実の断片を集録した一冊は、まぎれもなく川村茂和の心情に拠って支えられはしたが、彼の心情に身を寄せての解読を拒否している」(森山大道)。