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日本の写真家である堀野正雄(1907-1998)。本書は、岩波書店より刊行された「日本の写真家」シリーズの12巻目。1927年に東京高等工業学校応用化学科を卒業した後、舞台写真家と活動しながら「国際光画協会」「新興写真研究会」といったグループに加わり、意欲的な実験写真を制作。昭和初期の「新興写真」の旗手として知られ、また印刷物としての写真の可能性を追求し、報道写真の先駆ともいえる「グラフ・モンタージュ」を発表するなど、日本のフォト・ジャーナリストの草分けとも評されています。本書では、20年代から30年代の写真を収録。舞台写真から子どもたちのスナップ、鉄橋や船、建物を造形的に切り取った写真群、そしてグラフ・モンタージュの一連の作品。30年代は雑誌やグラフ誌での撮影が多くなるため、後半には女性写真、広告写真、報道写真などが収められ、様々な実験を経た堀野は「写真を記録・伝達の手段として社会に広く流通させていく方法論を確立していた」(本書より)。戦後はカメラマンとして活動しなかった堀野ですが、その短い期間に凝縮された創作の軌跡を通覧できる一冊です。