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ハンガリー生まれ、オランダを中心に活動した写真家アタ・カンド(1913-2017)の写真集『Kalypso & Nausikaä』。戦前から写真を始め、パリやアムステルダムでファッションからドキュメンタリーまで幅広く活動し、1950年代にはエド・ヴァン・デル・エルスケンと結婚生活を送ったことでも知られる、20世紀オランダ写真を代表する女性写真家の一人です。本作は1956年、三人の子どもたちと南イタリアを旅した際に制作されたシリーズ。ホメロスの『オデュッセイア』に登場するカリュプソとナウシカアの物語を題材に、子どもたちが登場人物を演じ、海辺や古代遺跡を舞台に撮影されています。即興的な衣装や子どもの「ごっこ遊び」と神話世界が重なり、現実と空想を自在に往来するような幻想的な写真が展開されます。当時すでに写真集として構想されダミーも制作されていましたが出版には至らず、約半世紀を経た2004年、カンド90歳の時に初めて正式刊行。同じく子どもたちを主人公とした初期の名作『Dream in the Forest』と並び、家族という身近な世界から物語と幻想を生み出したカンドの写真表現を知る重要な一冊です。