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ジョアン・フォンクベルタ(1955-)の代表作として知られる『Herbarium』。スペイン・バルセロナを拠点に活動するフォンクベルタは、写真が持つ「真実を記録する」という前提そのものを問い続けてきた現代写真界の重要作家です。本作は1980年代初頭に制作された初期の代表シリーズで、植物図鑑や博物学標本集を思わせる端正な体裁を取りながら、実際にはこの世に存在しない架空の植物を収録しています。作品に写る植物は、ホースや電気コード、金属片、ブラシなどの日用品や廃材を組み合わせて制作されたものであり、フォンクベルタはそれらを本物の植物標本のように撮影しました。ドイツの植物写真家カール・ブロスフェルトへのオマージュとして制作された本シリーズは、一見すると科学的記録写真に見えながら、写真に対する私たちの信頼や先入観を巧みに揺さぶります。後の『Fauna』や『Sputnik』へと発展するフォンクベルタの方法論がすでに確立されており、写真、科学、博物学、フィクションが交差する独創的な世界を堪能できる一冊です。20世紀後半のコンセプチュアル・フォトブックを代表する重要作として高く評価されています。