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アメリカの写真家・映画作家リチャード・カーン(1954–)の作品集『Kern Noir』。カーンは1980年代のニューヨーク・イーストヴィレッジにおけるアンダーグラウンド文化の中心人物の一人で、リディア・ランチらと関わりながら、過激な表現で知られる映画運動「Cinema of Transgression」にも参加した作家です。その活動と並行して写真制作も続け、性や欲望、覗き見る視線といったテーマを通して、ポルノグラフィとアートの境界を探る独自のイメージを生み出してきました。本書はそうしたカーンの写真作品をまとめた一冊で、モノクロを中心に、室内で撮影された女性ポートレートやヌード作品を収録。シンプルな空間と直接的なフラッシュ光のもとで捉えられた身体のイメージは、親密さと距離感が同時に漂う独特の緊張感を帯びています。1980年代以降のニューヨークの反体制的カルチャーを背景に生まれたカーンの視線を、写真集として俯瞰できる代表的な一冊です。