Google Translate
フィンランドの写真家ネッリ・パロマーキ(1981–)の作品集『Breathing the Same Air』。ヘルシンキ・スクールを代表する一人として知られる彼女は、クラシックなモノクロポートレートの形式を用いながら、成長と記憶、自己像の揺らぎ、そして死の不可避性を長く中心的なテーマとしてきました。本書は、デンマークのオードルップゴー美術館とフィンランド写真美術館での展覧会にあわせて刊行され、子どもや若者を正面から捉えた肖像を通じて、「かつて写真館でのポートレートが持っていた魔法」をいま一度呼び起こそうとする試みです。簡素な背景と柔らかな光の中に立つ彼らは、まだ生のほとんどを前にしながら、すでに老いと死に向かって歩き始めている存在として写し出されます。パロマーキは「私たちは死を否認するが、写真は逃れられない運命の証明になる」と語り、写される側だけでなく、自身の時間や不安もそこに刻み込んでいます。ポートレートは出会いの「痕跡」にすぎないという自覚とともに、同じ空気を吸っていた瞬間の重みを静かにとどめる本書は、肖像写真が持ちうる倫理と親密さ、そして写真と死の関係を改めて考えさせてくれる一冊です。