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フランスのアーティスト、ソフィ・カルの作品集『Ghosts』。私的な体験や他者との関係性を起点に、不在・記憶・見ることの不確かさを探ってきたカルは、言葉とイメージを往復しながら、出来事の輪郭そのものを作品化してきました。本作では、美術館から失われた絵画という「存在しない作品」を主題に、展示室の監視員や関係者の証言を通して、彼らの記憶の中に残るイメージを言葉として立ち上げていきます。写真には空白の壁や痕跡のみが写され、そこに添えられる語りが、かつて確かに存在したはずの作品像を曖昧に浮かび上がらせます。見ることは常に主観的で、記憶は時間とともに変質するという事実を、この静かな構成は突きつけます。写真が「証拠」や「記録」である以前に、語りや想像と結びつく不安定な媒体であることを示し、失われたものを前にした人間のまなざしそのものを問い返す一冊です。