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日本の医師・末武保政の作品集『黒石寺蘇民祭』。岩手県奥州市の黒石寺で千年以上続き、近年その長い歴史に幕を下ろした「蘇民祭」を、多角的に伝える記録書です。病院の副院長として地域医療に携わりながら、末武はアマチュアとして8ミリ映画などで祭の姿を長年撮り続け、その観察と聞き書きをもとに、行事の由来や進行、土地の信仰が息づく空気を丁寧に綴っています。本書には、東北で風景や人々を撮影し続けてきた写真家・佐々木稔によるモノクロ写真が20強収められており、裸の男たちが雪の闇に揉み合う迫力と、準備に奔走する地域の人びとの表情、世代を超えて受け継がれてきた祈りの時間が重なり合って立ち上がります。すでに終焉を迎えた祭礼の記憶を、言葉と写真の両方から立体的にたどることができる一冊であり、東北の民俗と戦後の地域社会を考える上でも貴重な手がかりとなっています。