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アメリカの写真家ハリー・キャラハン(1912-1999)の作品集『Photographs』。キャラハンは20世紀を代表する写真家のひとりで、都市の幾何学的な構造や自然の抽象的な形、妻エレノアを撮影した親密なポートレートなど、日常を独自の構成と感性でとらえてきました。シカゴを拠点にアーロン・シスキンドと並んで教鞭を執り、写真を芸術として確立する流れを築いた存在でもあります。日本の石元泰博にとっても重要な師のひとりであり、石元の代表作『シカゴ, シカゴ』に寄せた序文からは、その深い信頼と影響の大きさを読み取ることができます。本書は1964年にEl Mochuelo Galleryから刊行された初の大規模な作品集で、都市のパターンや自然の抽象性、そして身近な家族の姿まで幅広い作品を収録しています。美しい造本にまとめられた一冊は、石元の表現にも通じる造形意識と感性を体現しており、キャラハンの偉大さを改めて示す重要な書物となっています。写真史家として名高いAndrew Rothが、20世紀を代表する写真集101冊を紹介した歴史的資料集『The Book of 101 Books』にもノミネートされている名著です。(見返しヤケ・シミ強)