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日本の写真家・新川次丕の作品集。無名の写真家ながら写真集コレクターから高い人気を誇る一冊。こちらは没後の翌年に遺族らによって刊行された写真集ですが、80強の図版が収録されています。1972年に、九十九里・南浜にて波にのまれて帰らぬ人となり、享年・33歳。巻末には妻・兄・姉その他知人・友人が寄せたコメントが収録されていますが、例えば「角刈りの顔で、ぞうりか下駄履き」「酒・焼酎が大好き」「角界の名人とか無形文化財の人たちとかには目もくれず、彼の被写体の中心は、常に庶民だった。庶民の生活だった。陋巷(ろうこう)が好きだったのである」のような記述があり、何となく新川のひととなりが浮かび上がってきます。そして、その死因、さらにはその写真のスタイルなどは、「釜ヶ崎」に住み着き、最後は沖縄・奄美の海にのまれた名写真家・井上青龍を想起させるものがあります。大田区や川崎界隈などの路地、そこで働く労働者たちや飲み屋、そして道端に落ちている「軍手」を撮影したシリーズなど、鋭い感性と映像的描写に富んだ知られざる名作。元パラ付属。