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日本を代表する写真家・鈴木理策の作品集『Water Mirror』。これほどまでに美しく、思慮深く、そして多面的な視点で風景を描写する写真家は、多くはありません。風景を見つめ続けた画家たちにオマージュを捧げ、『Atelier of Cezanne』(2013)そして大変な話題を呼んだ近作『知覚の感光板 / La Plaque Sensible』でも、その姿勢を垣間見ることができます。こちらは「水鏡」つまりは水面に映る風景をメインに撮影された図版で構成された作品集。単なるいち風景が、鈴木の目には、様々な表情を見せるグリーン、アクセントのように輝く花や魚の色模様、脇役ながらもいい味わいを奏でる枯葉や枝・幹、ストレートにピントを合わせたものとあえて生じたブレ、といった要素が有機的に交わり、「風景の中に見るあたらしい風景」が映し出されます。構図の妙も鈴木らしく、風景写真の面白さが詰まった一冊です。