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戦後日本を代表する写真家・荒木経惟の作品集『ノスタルジアの夜 / A Night of Nostalgia』。80年代の荒木の代表作のひとつであり、荒木と妻・陽子との晩年愛、そして荒木と末井昭との名コンビがなし得た一冊。荒木・末井コンビによる『写真時代』が一世風靡して、隔月号から月刊号になるタイミングでもあり、その版元・白夜書房から末井のブックデザインによって発表された本書。六本木でタルコフスキーの映画「ノスタルジア」を見て、その夜に二人の棲家で営まれた行為で構成されており、荒木陽子によるテキスト「小説」も収録されています(当時は陽子も写真時代で連載を持っていました)。荒木の一方的な性と写真の行為の押し付けと思いきや、陽子のテキストによれば自身もあながちこの押し付けは嫌いでなく、むしろ好きであり、撮られることへの興味も綴っています。夫婦のある種あたり前の、濃密な日常が描写されているだけでなく、陽子のテキストも意味深いものであり、末井による粋なブックデザインも素晴らしい名著です。