Google Translate
戦後日本を代表する写真家のひとりである篠山紀信の作品集『Atokata』。エロスなら荒木経惟、アートなら森山大道、コマーシャルなら篠山紀信と言われた時代もあったそうで、宮沢りえ、樋口可南子、高岡早紀といった女優のヌード作品が一般的には有名でもありますが、コマーシャル写真を極めたからこその芸術性も高く評価されています。荒木経惟の作品集のデザインを多数手がけた油谷勝海は、自著『パワー・デザイニング』(1984)で、『晴れた日 / A Fine Day』こそ写真集の教科書であると述べており、また同じく日本代表する写真家・中平卓馬も、篠山との共著『決闘写真論』等で、健康的かつ真っ直ぐな篠山の作品に敬意を示しています。本書は、東日本大震災後の東北を撮影した図版で構成された一冊。篠山紀信の写真のうまさが際立った作品集でもあります。以下、写真家によるあとがきより「それは神の悪戯でも凄惨な地獄でもなく、静謐で尊く、荘厳な光景であった。僕は自然の力に畏怖し、畏敬をもって凝視するしかなかった」。