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戦後日本を代表する写真家・林忠彦の写真集『小説のふるさと / The Home of the Short Story』。木村伊兵衛や土門拳らと並び「昭和」を象徴する写真家であった林忠彦。織田作之助や太宰治ら文士のポートレート、戦後の混乱期から変革期へと移りゆく「都市」の姿を収めた作品、その「文化」「風俗」を捉える確かな眼は、感性豊かで鋭い。アマチュア写真の振興を目的とした「林忠彦賞」なるものが存在するほど、その残された功績の大きさに敬服します。本書は、1956年より『婦人公論』にて連載されたシリーズで、著名な文言作品の’’舞台’’を訪ね、その風土を収めた感慨深い作品集です。文芸のもつ奥深い世界に、カメラの写実性がどこまで迫れるか。そのイメージを壊すまいと神経を研ぎ澄ませて撮影されたという図版の数々。三島由紀夫の『潮騒』、壺井栄の『二十四の瞳』、川端康成の『伊豆の踊り子』。志賀直哉の『暗夜行路』、石坂洋次郎の『若い人』など12小説がモチーフとなり、作家のポートレートとその舞台の風景が収録されています。(The Japanese Photobook 1912–1990 収録)