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日本を代表する写真家・篠山紀信の写真集『篠山紀信ニュース4 はずき』。グラビアやアイドル、ヌードなどの女性のポートレートをはじめ、視覚的欲望を満たすべく多彩なフィールドで「時代の空気感」を描写し続けている篠山紀信。本書は「1994年=『現在』という時代についての篠山紀信による『報告書』」として刊行された『篠山紀信ニュース』の第4号(最終号)。1993年に山田太一原作・脚本のドラマ『丘の上の向日葵』で女優デビューすると、新進女優として時代の寵児となった葉月里緒菜を特集した本号は、巻末の篠山と葉月の対談では「こよなく美しく狂おしく、だね。葉月里緒菜が内に秘めた『狂気』みたいなのが、意図せずににじみ出てる」と篠山は話していますが、和装に身を包んだ葉月は虚ろな表情を浮かべるばかりで、どこか人形じみた魔性の姿。第2号でモデルを務めた藤谷美和子と同様に、葉月も表舞台から姿を消してしまいますが、2人に共通するような内面(それは狂気といえるかもしれませんが)を、篠山は被写体として見据え、写し出していたとも思えます。