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日本を代表する写真家・森山大道のフォト・エッセイ『遠野物語』。本書は、岩手県・遠野に残る民話や伝説をまとめた柳田国男の古典と同名ですが、岩手出身の詩人である宮沢賢治の作品世界にも触れていた森山にとって、遠野は特別な場所として存在し、そこに「ふるさと」のような憧憬や願望を感じ取っていたようです。70年代中頃に初めての個展のために遠野を訪れた森山は、この民話の郷で取り憑かされたようにシャッターを切り、そこで日本人が忘却した記憶と失われた原風景を写し出しました。本書は、ニコンサロンで行われた個展の後、1976年に発行された初版です(2007年には復刊版も発行)。カラー写真から始まり、牧歌的な田園風景やランドスケープ、地方らしい町並み、伝統的な催しなどが森山らしいコントラストの強いモノクロ写真で切り取られています。