Google Translate
日本のデザイナーで写真家でもある近藤良一の写真集『No War』。1943年福井県生まれ、1960年代よりグラフィック・デザインやアート・ディレクションの分野で活動をはじめ、69年にはデザイン・ルーム「Space 606」を開設、70年代にはヤマハのアートディレクションやレコード・ポスターなどのデザインで活躍しました。そして80年に、ニューヨークに移住してから写真を撮り始め、とある日常の断片をデザイン的に切り取り、その一連をまとめたファースト写真集『Span』を発表、2016年には、ライフワークとして続けていたりんご畑を舞台にした『under the apple tree 1986-2006』を刊行していますが、本書も同16年に上梓された一冊。「平和」を願って、デモや演説を行う人々をモチーフにしており、過去2作品に比べて最も人間的な作品の数々。光と影のコントラストや、コンポジションに卓越したセンスを感じさせ、「Protest」がテーマでありながら、ヒューマニティーよりもデザイン性に目がいくところも近藤らしさを感じさせます。眺めれば眺めるほど味わい深い作品集です。