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日本のデザイナーで写真家でもある近藤良一の作品集。60年代よりグラフィック・デザインやアート・ディレクションの分野で活動をはじめ、69年にはデザイン・ルーム「Space 606」を開設、70年代にはヤマハのアート・ディレクションやレコード・ポスターなどのデザインで活躍しました。そして80年に、ニューヨークに移住してから写真を撮り始め、とある日常の断片をデザイン的に切り取り、その一連をまとめたファースト写真集『Span』を刊行しています。本書は、近藤が80年代より20年もの間ライフワークとして撮影を続けていた青森県・弘前の「りんご畑」をモチーフにした図版で構成された作品集。カラーリング、コントラスト、コンポジション、リフレクションなど、デザイン的なセンスが素晴らしく、Terri Weifenbachを想起させるような繊細なタッチにも惹かれます。「田舎」「りんご」を題材にしたいわゆるドキュメンタリーではありませんが、センシティブな視点でドライに切り取った「青森」もまた美しい。そして何より「自然」の恩恵とその美しさを再認識させられる一冊です。600部限定。