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日本の写真家・橋本康夫の写真集『藍の時代 -足尾と私の十三年-』。足尾鉱山をはじめ各地の鉱山や炭鉱の写真を撮りながら、研究をしていたという橋本康夫。本書は、閉山前の1970年から、閉山後の1981年までの間に写し出された足尾鉱山の記録です。徳川幕府の直轄として採掘が開始されたのが1610年。以来鉱山開発・製錬事業で発展を遂げ、一方では環境破壊、水質・土壌汚染などでも話題になった「足尾」。銅山の枯渇化や鉱石の輸入などにより産業は細り、1972年11月1日に閉山が通告され、1973年に閉山しています。「橋本氏は尖鋭な問題を提示し読者に訴えるタイプの写真家ではなく、人間に対する深い愛情を基調としながらも、人間とその行為を深く見つめ、自分自身の中に想起したものをカメラを通して表現しようとする写真家である」と巻末の齋藤光春の解説では述べられていますが、閉山後に衰退していく足尾の光景を過剰に切り取るのではなく、その町並みやそこで暮らす人々を淡々と写し出しています。