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日本を代表する写真家・荒木経惟(1940-)の写真集『楽園は、モノクローム。』。1960年代より写真表現の既成概念に挑み続け、妻・陽子との日常を綴った『センチメンタルな旅』をはじめ、私写真という独自の領域を切り拓いてきた荒木経惟。生と死、エロスとタナトス、日常と幻想を自在に往還するその作品世界は、戦後日本の写真史において特異な位置を占めています。本書は、75歳を迎えた荒木が、花や人形など身近なモチーフを通して、自らの内面に広がる「楽園」をモノクロームで描き出した一冊です。色彩を排することで、花々の生命力や人形の妖しさ、光と影が織りなす情景はいっそう濃密なものとなり、静謐な画面の奥から生への執着と死の気配が浮かび上がります。瀬戸内寂聴や野坂昭如といった人物の存在も、荒木が長年にわたって築いてきた人間関係と時代の記憶を感じさせます。ユーモアと哀愁、官能と無常観が交錯する、晩年へと向かう荒木の成熟した写真表現を味わえる作品集です。