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アメリカの写真家クリストファー・アンダーソン(1970-)の作品集『Marion』。ハイチや中東など紛争地を舞台に第一線のフォトジャーナリストとして活躍しながら、2000年代後半以降は家族という最も身近な存在へ視線を向け、ドキュメンタリー写真の新たな地平を切り開いてきました。本書は『Son』『Pia』に続く家族三部作の完結編であり、長年連れ添う妻マリオンを主題に据えた一冊です。恋人から妻、そして母へと変化していく彼女の姿を約20年にわたり撮影した写真が収められ、愛情や親密さだけでなく、時間の経過や人生の積み重ねそのものが静かに描かれています。アンダーソンは当初、家族を撮影した写真を「作品」とは考えていませんでしたが、親友であり戦場写真家でもあったティム・ヘザリントンから「これは時間の経過についての写真だ」と評されたことを契機に、それらを自身のライフワークとして捉えるようになりました。本書には、その気づきの結晶ともいえる写真群が収録され、「写真は創作ではなく、愛情の表現であり、その記録である」という作家の思想が一冊を通して深く息づいています。Stanley/Barkerが継続して刊行してきた家族三部作の締めくくりとしても、同出版社を代表する重要な作品です。