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日本の写真家・緑川洋一(1915-2001)による『瀬戸内海<岡山文庫>』。歯科医として働く傍ら写真制作を続け、植田正治らとともに中国地方の写真文化を牽引した緑川は、生涯にわたり瀬戸内海を重要なモチーフとして撮影し続けました。「光の魔術師」とも称され、光や気象の変化を巧みに捉えた抒情的な風景写真で知られています。本書は1967年、日本文教出版が岡山の自然・歴史・文化を紹介する「岡山文庫」の第14巻として刊行された一冊。緑川はこれに先立つ1962年、美術出版社より大型写真集『瀬戸内海』を発表し、写真家として高い評価を確立しています。本書にもその仕事と地続きとなる写真が収められていますが、単なる縮刷版ではなく、写真と文章を通して瀬戸内の風土を紹介する郷土紀行として編まれている点が特徴です。表紙にはカラー写真が用いられる一方、本文の写真はほぼモノクロで構成。島々や海岸線、船、そこで営まれる人々の暮らしなど、現在とは異なる高度経済成長期の瀬戸内の姿が静かな眼差しで記録されています。緑川の代表的テーマである「瀬戸内」を、写真作品と土地の記録という二つの側面から味わうことのできる一冊です。1978年刊行・第7版(初版は1969年)