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日本の写真家そえじまみちおの作品集『新宿「歌舞伎町」漂流』。1990年代初頭の新宿・歌舞伎町を舞台に、夜の街に集う人々や路地の気配を、過度な演出や断定を避けた距離感で捉えています。本作は、ルポルタージュの即時性と私写真の親密さのあいだに立ち、匿名性と流動性が交差する場としての歌舞伎町を、出来事の中心ではなく周縁の時間から描き出します。被写体は象徴化されることなく、通り過ぎる視線や立ち止まる瞬間として写され、街が持つ多層的な表情が静かに積み重なっていきます。特定のメッセージを押し出すのではなく、見る者に解釈の余白を残す構成は、場所と人の関係が固定されないことを示唆します。時代と場所の記録でありながら、写真が「漂流」という状態をどのように留めうるのかを問い返す一冊です。テキスト多め。