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日本の写真家・北井一夫(1944-)の作品集『新世界物語』。北井は戦後日本の庶民的な日常や社会の変化を冷静かつ親密な視線で捉えてきた作家で、「村へ」「いつか見た風景」などの代表作に見られるように、時代の記録と人間の生を深く見つめるドキュメンタリズムで知られています。本書は大阪・新世界を舞台に、昭和の香りが色濃く残る歓楽街の人々と風景を丹念に写し取ったシリーズです。通天閣を見上げる雑踏、路地に佇む男たち、遊技場や居酒屋の明滅する灯り――北井のカメラはそこに漂う生の熱と哀歓を、モノクロームの濃密なトーンで描き出します。時代の隙間に息づく人間の存在を見つめた記録として、北井作品の中でも特に情感豊かな一冊です。