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日本の写真家・浦田穂一(1933-)の作品集『写真 遠野物語』。岩手県紫波町の農家に生まれた浦田は、地域に根ざした視点で戦後の暮らしや風土を撮り続け、岩手芸術祭での優秀賞・芸術賞をはじめ数々の受賞を重ね、やがて遠野市立博物館の研究員を務めるなど、土地の文化記録に深く関わってきました。穏やかな観察と実直な記録姿勢を特徴とし、地域社会の中から自然に立ち上がる表情や景観を丹念に写し取ってきた作家です。本書はその活動の原点ともいえる遠野の風景と人々を見つめた一冊で、祭礼や仕事の場面、季節のうつろい、家々の佇まいなど、日常に寄り添う視線が一貫して流れています。演出や誇張に寄らず、土地の記憶をそのまま掬い上げるような静けさが漂い、遠野に息づく生活文化の厚みが写真からじわりと滲み出てくる構成になっています。地域に根ざした写真家としての浦田の姿勢が、もっとも素直な形で結実した作品集です。